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『同じ『あぶら』でも、こんなに違う ― 脂質の質と眠りの深さ』

はじめに

「脂っこいものは、なるべく控えている。」

そう気をつけているのに、
朝の目覚めがどこかすっきりしない。
そんな感覚はありませんか。

食事の「量」を意識する方は多くても、
脂質の「」にまで目を向けている方は、
案外少ないものです。

実は、同じ脂質であっても、
含まれる成分によって、
眠りへの影響は大きく変わることが、
研究でわかってきています。

飽和脂肪酸を中心とした食事は、
眠りを浅くする方向に働き、

青魚に含まれるDHA・EPAのような
オメガ3脂肪酸は、
眠りの質を底上げする可能性が
報告されています。

今回は、脂質と睡眠の関係について、
最新の研究データをもとに
ご紹介していきます。

Ⅰ. 深い眠りを増やす食物繊維、浅くする飽和脂肪酸

まず、脂質と眠りの関係を示した
基礎的なデータからご紹介します。

アメリカでおこなわれた研究では、
健康な26名を対象に、
日々の食事内容と、
その夜の眠りの関係を
詳しく調べています。

食物繊維を多く摂った日は、
深い眠り(徐波睡眠)が増え、
浅い眠りが減る
ことが
わかりました。

一方で、飽和脂肪酸の摂取量が
多いほど、深い眠りは
減少する
傾向がみられました。

さらに、糖質を多く摂った日は、
夜間の中途覚醒が増えることも
報告されています。

つまり、毎日の食事の「中身」は、
眠りの深さや、夜中に目が覚める
回数にまで影響している
のです。

Ⅱ. オメガ3脂肪酸は「摂る量」で効果が変わる

続いて、青魚に多く含まれる
**オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)**について、
複数の研究をまとめたデータを
見ていきます。

日本の研究チームが、
これまでの臨床試験8件
まとめて解析したところ、

オメガ3脂肪酸を摂取したグループは、
摂取しなかったグループに比べて、
睡眠効率(眠っている時間の割合)が
高い
ことがわかりました。

さらに、摂取量ごとに分けて
解析し直すと、

一定量以上を摂取した場合に、
睡眠の質の改善効果が
より明確に現れる
ことも
示されています。

つまり、オメガ3脂肪酸は、
「摂るか摂らないか」だけでなく、
**「どれだけ摂るか」**によっても、
眠りへの効果が変わってくるのです。

Ⅲ. 「揚げ物・加工肉中心」の食事は、睡眠障害リスクを高める

次に、実際の生活データから
見えてきた傾向を取り上げます。

アメリカの大規模健康調査
(NHANES)を用いた研究では、
約2万人分の食事内容と
睡眠の状態が調べられました。

その結果、固形脂・加工肉・
精製穀物・添加糖などを
多く摂る食事パターンの人は、

そうでない人に比べて、
睡眠障害と診断されるリスクが
約1.4倍高く


睡眠時間も短い傾向にある
ことがわかりました。

一方、全粒穀物や野菜、果物を
中心とした食事パターンでは、

睡眠時間の短縮との関連は
みられたものの、
睡眠障害そのものとの
明確な関連は確認されませんでした。

普段の食事の「傾向」そのものが、
眠りの状態や時間に、静かに
影響している
のです。

Ⅳ. DHA・EPAの補給で、中高年の眠りは変わるか

最後に、45歳以上の方を対象にした
臨床試験のデータを確認していきます。

日本人の男女66名が参加し、
魚油由来のDHA・EPAを
12週間摂取するグループと、
摂取しないグループに分けて
比較する試験が行われました。

その結果、DHA・EPAを摂取した
グループでは、「夢を見すぎて
熟睡感が乏しい」といった
睡眠の質の項目が改善
し、

客観的な睡眠計測でも、
睡眠効率(眠っている時間の
割合)の向上
が確認されました。

これらの睡眠指標は、
入眠や中途覚醒のコントロールに
かかわる自律神経の働きと
密接に関係しています。

脂質の質を見直すことは、
自律神経のバランスを
整えるための、
ひとつの入り口になります。

もう一つの選択肢として、
自律神経に直接働きかける
鍼灸があります


食事の工夫と合わせて、
身体の内側から整えていくことも、
選択肢のひとつです。


おわりに

ここまで、脂質の「質」が
眠りの深さや睡眠障害リスクに
関わっていることを
見てきました。

これは、意志の弱さや
性格の問題ではなく、

摂っている脂質の種類
眠りを左右している、
というだけのことです。

今日からの工夫として、
揚げ物や加工食品を少し減らし、

週に2〜3回、青魚を
食卓に取り入れる
ことから
始めてみてください。

それでも変わらない場合は、
自律神経の乱れ
関わっているのかもしれません。

そのようなときは、
どうぞRE-SO-LVにご相談ください。


出典・参考(抜粋)
St-Onge, M.P. et al. (2016) J Clin Sleep Med.
Shimizu, K. et al. (2024) J Clin Biochem Nutr.
Wang, S. et al. (2022) Nutrients.
Yokoi-Shimizu, K. et al. (2022) Nutrients.

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