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働き盛りの30〜50代の方にとって、睡眠は「休む時間」であると同時に、
明日の働きを支える土台でもあります。
寝不足が続くと、集中力や判断力が落ちたように感じたり、
気分の波が大きくなったりして、日中の仕事に影響が出やすくなります。
また、慢性的な睡眠不足は、肥満や高血圧、
抑うつなどのリスクと関連することが示されています。(厚生労働省 2023)
睡眠は、時間だけでなく「質」や「連続性」によって、回復感が大きく変わります。
眠れない夜があっても、あなたに問題があるわけではありません。
睡眠は、意志で作るものではなく、体の中の条件がそろったときに深まりやすくなる生理反応です。
今回は、その理由を5つの視点からお話しします。
睡眠には、「眠る時間になったから眠る」という仕組みだけでなく、
起きているほど眠りが必要になる仕組みがあります。
この“必要性”のことを睡眠圧と呼びます。(Borbély 2016)
起きている間、脳は活動のために多くのエネルギーを使います。
その代謝の過程で、脳内ではアデノシンが徐々に増えていき、
一定以上になると「そろそろ休むべき」という方向に働くと考えられています。(Reichert et al. 2022)
アデノシンは受容体を介して覚醒に関わる働きを弱め、
眠りに向かう流れを後押しします。(Reichert et al. 2022)
つまり、眠気は気分だけで生まれるのではなく、覚醒の積み重ねが作る生理反応でもあります。
もし「疲れているのに眠れない」日が続くときは、この睡眠圧そのものが十分に育っていないか、
あるいは覚醒を強める条件が重なって、眠りの入口が狭くなっている可能性があります。(Borbély 2016)
睡眠には、もう一つの柱があります。
それは「いつ眠るか」というタイミングを整える仕組みです。
脳の視交叉上核(SCN)を中心とする体内時計は、約24時間のリズムを刻みながら、
日中は活動へ、夜は休息へと身体を導きます。(Borbély 2016)
この体内時計がズレると、眠気が来る時間も後ろへずれ込み、
「眠りたいのに眠れない」が起きやすくなります。
夜に向かう流れを支えるのが、松果体から分泌されるメラトニンです。
メラトニンは身体に「夜の合図」を伝える役割を担い、
休息へ向かう準備を後押しすると考えられています。(Zisapel 2018)
一方で、夜間の強い光(画面光を含む)は、メラトニン分泌や体内時計の位相に影響し、
入眠を遅らせる要因になり得ます。(Zisapel 2018/厚生労働省 2023)
夜に頭が冴えやすい方ほど、「光」と「時間帯」の扱いは、睡眠の質を左右しやすい条件になります。
そして体内時計は、夜だけでなく朝の影響を受けやすいのも特徴です。
起床後の光が入るほどリズムが整いやすく、
夜のメラトニンの立ち上がりも作りやすくなります。(厚生労働省 2023)
眠りに向かうためには、体が「起きる側」から「休む側」へ移る必要があります。
その切り替えに深く関わるのが、自律神経です。
日中は、活動や緊張を支える交感神経が働きやすくなります。
夜は、休息や回復を支える副交感神経が働きやすい状態へ移ることで、眠りに入る準備が進みます。
ただ、仕事の負荷やストレスが続くと、夜になっても交感神経の高い状態が残りやすくなります。
その結果、寝床に入っても頭が冴えたままになったり、呼吸が浅くなったりして、
「休む側」へ入りにくくなることがあります。(厚生労働省 2023)
睡眠と覚醒の切り替えには、脳内の神経回路(睡眠を促す側と覚醒を保つ側)が関わっており、
緊張が続く状況では覚醒側が保たれやすいことも示されています。(Saper et al. 2010)
眠りに入る前、身体は「休む側」へ移る準備として、
深部体温(体の芯の温度)を下げる方向へ動きます。(Harding et al. 2020)
この深部体温の低下が進むほど、眠りに入りやすくなる傾向があります。
その鍵になるのが、手足など末端から熱を逃がす放熱です。
末梢の血管が広がり、体の熱が外へ逃げやすくなることで、
結果として深部体温が下がっていきます。(Harding et al. 2020)
反対に、手足が冷えて血管が縮んだままだと放熱が進みにくく、
深部体温が下がる流れが作りにくくなります。
「疲れているのに寝つけない」夜には、体温の切り替えがうまくいっていないこともあります。(Harding et al. 2020)
私たちの睡眠は、ずっと同じ深さではありません。
眠りには、脳を深く休めるノンレム睡眠と、脳が活動しやすいレム睡眠があり、
これらが交互に訪れます。(Peever & Fuller 2016)
ノンレム睡眠は、身体と脳を休ませる時間として位置づけられています。
一方でレム睡眠は、身体は休んでいても脳の活動が保たれやすく、
夢を見やすい段階として知られています。(Peever & Fuller 2016)
このように睡眠は「深さの違う段階」を繰り返しながら、心身のメンテナンスを進めていきます。
途中で目が覚める回数が増えると、この流れが分断され、
回復感に影響することがあります。(Peever & Fuller 2016)
ここまで見てきたように、睡眠は、体の中の条件がそろったときに深まりやすくなります。
今回お話しした内容は、次の5つに整理できます。
・睡眠圧(アデノシン):起きているほど眠りが必要になる仕組み(Borbély 2016/Reichert et al. 2022)
・体内時計(SCN・メラトニン):眠るタイミングを整える仕組み(Borbély 2016/Zisapel 2018)
・自律神経:起きる側から休む側へ移るための切り替え(厚生労働省 2023/Saper et al. 2010)
・深部体温(放熱):体の芯の温度が下がる流れ(Harding et al. 2020)
・睡眠段階(レム/ノンレム):深さの違う眠りが巡る仕組み(Peever & Fuller 2016)
「眠れない」「寝ても回復しない」といった悩みは、この5つのうち、
どこかが邪魔されていることで起きている可能性があります。
大切なのは、すべてを一度に変えようとしないことです。
まずは“どの条件が崩れていそうか”を見立てて、ひとつずつ戻していく。
その順番が、遠回りに見えて一番確実です。
今後のコラムでは、原因ごとに「どの機能が阻害されるのか」を軸に、ひとつずつ解説していきます。
眠れない夜があっても、焦らなくて大丈夫です。
崩れている条件は、ひとつずつ戻していけます。
必要なときに思い出していただけたら、それで十分です。
出典・参考(抜粋)
・厚生労働省(2023)健康づくりのための睡眠ガイド2023. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
・Borbély AA. (2016) J Sleep Res. https://doi.org/10.1111/jsr.12371
・Reichert C, et al. (2022) J Sleep Res. https://doi.org/10.1111/jsr.13597
・Saper CB, et al. (2010) Neuron. https://doi.org/10.1016/j.neuron.2010.11.032
・Zisapel N. (2018) Br J Pharmacol. https://doi.org/10.1111/bph.14116
・Harding EC, et al. (2020) Curr Opin Physiol. https://doi.org/10.1016/j.cophys.2019.11.008
・Peever J, Fuller PM. (2016) Curr Biol. https://doi.org/10.1016/j.cub.2015.11.011
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